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夢職ひきこもりの日々

40歳で鬱で職を失いました。2014年1月~2018年10月までトレードで生活費を稼いでいましたが、稼げなくなり完全に夢職なりました。酒場巡りをライフワークとするアル中予備軍。無業期間が長くなりすぎ再就職はあきらめました。

16年間の会社員生活について その16  

16年間の会社員生活について その1~15はこちらから
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学生時代、パン屋でアルバイトをしていたことがありました。
朝の5時から8時までの3時間だったと思います。

もう20年以上前のことなので正確な事は忘れてしまいましたが、
お店に行って、まず一番にやるのは
アップルパイやチェリーパイなどのパイ生地に卵黄を塗ることでした。
そこから先はどうだったか?記憶がありません。

時間が経つにつれ、パイやパンが焼ける良い香りがしてくる事を覚えています。
焼きたてのパンは最高に美味しいです。

そのバイト先には、パン職人が何人かいましたが、安藤さんという職人さんがいました。
年は50歳ぐらいだったと思いますが、職人気質でいつもピリピリした感じで、
みんなに恐れられていて、誰も近づこうとはしませんでした。

でも、私はそんな安藤さんがとても好きでした。
彼とは良く話をして、彼も学生だった私のことを可愛がってくれました。


■職人気質のNさんの退職

Nさんは、当時50代前半の技能職の社員でした。
職人気質で近寄りがたい雰囲気で、
パン屋でアルバイトしていた時の安藤さんと重なりました。

年齢もそうですが、風貌や小太りで身長が低いといった背格好など
不思議なほど似ていました。

Nさんは独身で、母親と2人暮らしでした。
ウイスキーが好きで、毎日自宅で飲んでいるようで、
朝、出社して彼の近くに行くと酒臭かったです。
手はいつも微妙に震え、みんなからはアル中ではないかと言われていました。
でも技術は確かで、私は何度もNさんに助けられました。

Nさんは職人なので、仕事には厳しかったです。
加工機の電源の切り忘れ、道具を元に戻さないなど、
いい加減に仕事をしていると烈火の如く怒りました。
私も顔を真っ赤にしたNさんに何度か怒られたことを覚えています。

みんなは気難しいNさんの事を恐れ、避けているようでしたが
私はNさんの事が好きでした。
そしてNさんも、私にはそれなりに優しかったように思えます。


私が所属していた生産技術部は、定期的に転勤を伴う異動があり、
東京にある研究所と、地方にある工場を行ったりきたりしている人が多かったです。
しかし、Nさんは年老いた母親を連れて地方に行くとはできず、
かといって、母親を一人東京に残していくこともできず、転勤は全て断っていました。
そして、彼の上司もそのことに配慮していたようでした。

しかしある時、Nさんの部署ごとが地方の工場に行くことになり、
Nさんは転勤を拒否しましたが、この時ばかりはどうにもならなかったようです。
そして、彼は会社を去ることになりました。

彼の送別会は、会社近くの居酒屋でささやかに行われました。
私は彼との別れが辛くて、涙が出てきたのを覚えています。



Nさんは資産家でした。
ある時、彼が住んでいた土地が用地買収の対象となり、
立ち退きを求められ、その補償金として多額の現金が得られたからです。

Nさん本人から聞いたのですが、
立ち退きの際は、何人もの交渉代理人が入れ代わり立ち代わり来て、
立ち退き料はどんどん釣り上がっていったそうです。
最終的に幾になったかは、正確には教えてくれませんでしたが、
その額は、2億円以上3億円以下だと言っていました。
それだけの資産があったので、転勤を断り、
あっさりと仕事を辞めることができたのでしょう。
当時、鬱で仕事を辞めたいと常々考えていた私は、彼がとても羨ましく思えました。

Nさんが仕事を辞めてから、街で何度か彼と会いました。
小太りで背の低いNさんが、更に太っていたことを覚えています。
悠々自適な生活を送っているようでした。




Nさんが多額の資産を手に入れたのは、偶然に他なりません。
偶々その土地に住んでいて、偶々その土地が用地買収の対象となったからです。
そういった運、不運に人生は常に支配されています。

極端な話、生まれながらにその人の運命は決まっているとも思えます。
裕福な家に生まれたか、容姿端麗な両親から生まれたか、
頭脳明晰な両親から生まれたか、健康な肉体・精神であるか。
もちろん、後天的な「努力」という要素はあるにせよ、努力して必ず報われるとは限りません。
むしろ人生の中では、自分の努力ではどうにもならないことの方が
圧倒的に多い気さえします。

生きていくことは常に運命に翻弄され続ける。
私が人生に理不尽さを感じるのは、そういう点からだと思います。


その17 に続く
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